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川崎在日コリアン生活文化資料館 資料室
分類: 在日一世の証言
DT014

戦後の池上町(旧桜本3丁目)で暮らして 一九二五年生まれ、女性
ここの家は、今でも東電の土地。昔空いている土地に建てちゃったの。この辺はそういう人いるよ。買った人もいるし。この辺ね、鋼管のがあるし、東電があるし、Aさんのがあるし、何軒も違うの。Bさんのとこも土地があるし。その人のは土地のお金払って借りてる。Aさんのは、他の人が売って、その人がお金払って、この辺の土地安く買ったんだって。でも、道飛館のあたりは、みんな買ったんだ。日本人の地主から。鋼管の土地の方は、今はいっぱい新しい家が建ってるけど、昔は建てちゃダメだってもめた事がある。前に家のほうもこのまま不法占拠状態でいたんじゃ悪いから、みんなで集まって、ひとりじゃできないから団結してお金集めて買いましょうって言ったら、皆もう、そんなのやることないって言ってやらなかった。家建てると問題はあるよ。だめだって。家はあんまりなかったけど。今でも近くの工場だか、音がすごいんだよ。昨日も爆弾が落ちたみたいな音がして。[その音のことから連想して]そこの公園があるじゃん。昔戦争の時、死人を燃やしたんだ。爆弾でやられた人。朝鮮の人も。朝鮮の服着てた。リヤカーで引っ張ってきたのもあるし。昔、鋼管の工場のとこに爆弾が落ちたんだよ。朝鮮の人も死んだ。昔は会社で死んだって何も出なかったじゃん。泣いても泣ききれないよ。鋼管の煙もひどかった。煤煙がすごかったから、洗濯物を中に干したりしてた。冬は北風が吹くからいいけど、夏はもう戸も開けておけない。小雨が降るみたいだよ。親戚が来ると、「何が降ってるの?」って聞くから、「鉄粉だよ鉄粉。鋼管の鉄粉が降ってるんだよ。」って。煤煙がこなくなって22、3年になる。煤煙がひどい時は植木もだめだった。私が来る前は、この辺畑があったらしいけど、私が来た時はなかった。それから、台風がきたりして大水があると、水が入ってくるし。昔は箪笥もあんまりないし、丸太ん棒で畳上げたりしてた。それで、下水がないから、水が引かないじゃん。それで水虫になっちゃったよ。それでなかなか治んないし。薬つけるわけじゃないし。昔なんか、風邪引いたって薬なんか飲まなかったよ。みんながそうだった。それでどうしたと思う。生姜とみかん少し入れて、黒砂糖入れて甘くして、熱くして飲んだんだ。大雨を防ぐために、うちの人が頼んで、土を入れて高く堤防を作ったんだ。昭和27年だった。うちの人は徴用にも行ったし、日本の人に尽くしてるよ。昔は桜本3丁目っていうと、ガラが悪いって日本の人言ってたんだ。日活で映画やる時も、恐いからここでやろうとしなかった。チンピラが来るかと思って恐がってるから、「そんな噂とちがう。そんなこと絶対ありません」って言ったら、チンピラは本当に来なかったよ。映画作る人は喜んでた。それから、ドブロクの映画もやったよ。あたしバケツ持ってその映画に出たんだ。二千円くれた。

徴用
徴用と結婚
仕事がなくどぶろく作り
どぶろく
解放後
解放後の一時帰国のために 
帰国準備
子供の受けた差別
強制連行されてた夫を追って
夫が死んで必死に働いてきた
親の決めた結婚
差別を逃れて
逃亡
戦後の池上町(旧桜本3丁目)で暮らして
「特別在留をもらいに毎月入国管理局へ」
トラヂ会の楽しみ