06年度 世代と民族を結ぶ交流事業報告 2つの事業 

生活文化資料館では、「差別と戦争の時代」を生きた在日一世に学び、在日一世とともに、協同作業、協同体験を通じて、「差別の醜さ」「戦争の悲惨さ」を共感し、『差別と戦争のない時代』に向けて情報発信を行っていきたいと思います。
2006年度は、2つの大きな事業を実施しました。

 在日一世からの夏休み集中聞き書き事業 
 在日一世の生活史は、差別と戦争の時代を、痛めつけられた側からの告発であり、教訓でもあります。勇ましい戦争の本質を私たちに伝え、それでもどっこい生きてきた民衆の底力を伝えてくれます。それゆえ、在日一世のそれぞれの生活史は、辛かった記憶だとは思いますが、大きな目に見えない財産であり、次の時代を生きる私たちが引き継いでいくべき課題でもあります。
 世代と民族を結ぶ柱は、「在日一世の生活の記憶」であり「知識」であり「感性」だと思います。記憶を再生し、大いに語っていただく活動は、さまざまな場面設定で行っていきたいと考えています。今回資料館事業としての1回目は、1日目渡日史 2日目戦後生活史として、2時間づつの設定で計画しました。もちろん、そのとおりは進みませんが、在日一世が暑い夏、2日間も通ってくれて、そこに30人余の若い人たちが参加してくれたことは、今後につながる大きな一歩だと考えています。
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聞き書き風景
■■ 在日一世と行く戦跡めぐり 沖縄のたび 
 ここ数年、在日一世と国境を超え、祖国を旅する旅行などを積み重ねてきました。かつて国境を超えたときの記憶にふれ、帰れなかった、帰らなかった自分の立場と、帰国し、労苦を重ねた母国の同世代の高齢者と交流することにより、「お互いたいへんだったね」という癒しのひと時を共有できました。
 今回は、在日の生活史と同様、戦争の本質を明らかにしている沖縄の戦争体験を学び、交流することにより、「学習」と「共感」の機会を持ちました。在日一世の方々と、その地で戦争により大変な労苦を積み重ねた高齢者と、交流し、また、戦跡をめぐることにより、在日一世の自分の体験を相対化でき、在日一世の生活史に基づく豊かな感性に触れることができました。今後も、それぞれの生活の記憶を求め、あるいは、同世代の差別と戦争の時代を生きた民衆との交流を求めて、協同の旅行を企画していきたいと思います。
 今年度、沖縄のたびは、本当に実り多い旅でした。在日高齢者とともに、沖縄の戦争について、今後とも考えていくきっかけにできたと思います。
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沖縄旅行