メルマガ第9号

2009 年 9 月 2 日 edt03ht

川崎在日コリアン生活文化資料館メルマガ第9号
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 川崎在日コリアン生活文化資料館 メールマガジン 第9号
 2007年7月13日(金) 発行:資料館運営委員会メルマガ担当

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
2006年4月、「川崎在日コリアン生活文化資料館」が開設されました。これにともない、資料館の主役であるハルモニやハラボヂたちと、資料館をオンラインで訪れる人、資料館づくりを支える人びとをつなぐコミュニケーションの手段として、メールマガジンを発行しています。
《第9号内容》
1.ハルモニたちの作文と絵の作品展
  ・服部あさこさん
  ・ふれあい館だより220号「新作路」より
  ・鈴木宏子さん
2.行事案内
  ・こんどは7月末に川崎市庁舎で作品展!
  ・ことしも夏の記録化事業・交流事業
3.平和と歴史を考える博物館めぐり
  ・靖国神社遊就館
□■□ ハルモニたちの作文と絵の作品展レポート □■□
6月7日から12日にかけてまちなか交流センターで開かれた作品展は、
好評のうちに幕を閉じました。

◎服部あさこさん(大学院生)
 作品展を訪問して

 会場には、所狭しとハルモニたちの作品が展示されていました。大根やいちごなどの食べ物や、毛糸のマフラー、そして青空など、いくつもの題材が伸びやかに描かれていました。中でも私が感心したのはもやしの絵です。豆やひげ根まで丁寧に描かれていました。その脇に、「もやしは今までずっと食べていましたが、よく見たのは、はじめてです」というハルモニの言葉が貼られていました。ありふれたものをじっと見つめて、形を確認しながら丁寧に描いたハルモニの熱意が伝わってくるようでした。
 絵の他に、ハルモニたちの識字作品も展示されていました。その中には、「自分が絵を描けるとは思ってもいなかった」といった内容のものもありました。ほとんど教育を受けず、高齢になってはじめて鉛筆を握り、文字を覚えたハルモニも少なくありません。絵筆をとって、見たものを描く喜びや感動をつづった作文を読むと、絵を描くという体験が、ハルモニたちにとって大きな意味をもつことに改めて気づか
されました。
 私が展示を見に行ったのは木曜日だったので、見学者はほとんどいませんでしたが、ハルモニたちが何人か見えていました。そのお一人が、戦中と戦後の一時期を、私が現在暮らしている沼津で過ごされた方で、当時のお話をうかがうことができました。働いていた工場の様子や町の風景、戦後にどぶろくや焼酎を作り、一斗缶に入れて自転車で駅前まで売りに行ったことなど、生き生きと語ってくださいました。トラヂ会で何度かお会いしたことがあっても、これまでお話しする機会がなかったので、ゆっくりお話しできてうれしかったです。

◎ふれあい館だより220号「新作路」より転載

 識字学級(ウリハッキョ)のハルモニ(おばあちゃん)たちの作文と絵の作品展が開かれ、多くの賞賛の声に出会った。私もわくわくするほどの感動を覚えた。
 キミコ方式と呼ばれる絵の手法に出会った共同学習のSさんが、「これなら、いっしょにハルモニたちと絵を楽しめる!」と思い立ち、始まった。なるほど、伸びやかな個性、感性のハルモニたちにぴったりの表現方法で、はじめて筆をとった手で、だいこんやねぎやもやしを生き生きと表現した。構図や色や形の既成概念から自由でない共同学習者の方が苦戦しているように見える。
 「もやしはいつも食べてるけど、こんなに見つめたのははじめてだよ」「もう私の頭の中では、満開の桜の木がじょうずにかけているんです。」「はじめは小さかったマルが、自信がつくと、だんだん大きくなり、色もこくなる。」絵を描きながら心の動きを表現する言葉も感銘を受ける。公園で日本人の年寄りがスケッチする姿に出会っても、自分には到底かなうことのできない姿としてしか思えなかったハルモニたち。それが今回の作品展の成功で「自分も美しい景色をスケッチしてみたい」と次へのステップに想いを馳せている。
 絵の時間にしろ、作文の時間にしろ、ウリハッキョには「学びの仲間の響きあい」が感じられる。それが私たちをことのほか感動させるのだと思う。テーマの導入があり、それに対して自分の素直な感性や意見の交換があり、共感がある。そして、そのことを伸びやかに、素直に表現するハルモニたち。だから、絵にも作文にも人をひきつける力があり、その人の姿が浮かんでくる。「学ぶってこういうことだよね」
 「これで終わらせるのはもったいない」見学者からのありがたい申し入れにより、川崎市役所第3庁舎での展示が決まった。このときは、一般の人にも書いた人の顔がわかるように写真を展示したい。一人でも多くの人に見学いただき、「競争」や「評価」の嵐の中、自分を見失なわされている私たちこそ、ウリハッキョで営まれている共感の学びの場を感じて癒され、「思いっきり大好きな自分」を取り戻したい。(み)

◎鈴木宏子さん(ウリハッキョ共同学習者)
 「ハルモニたちの作文と絵の作品展」を終えて

 上記の「作品展」を多くの方々に、見ていただくことができ、いま、あらためて、作品展 をやって本当によかったと、感じています。 ウリハッキョ(私たちの学校)で学ぶ、ハルモニたちが、絵を描き始めたのは、わずか1年前のことです。以来、一ヶ月に1回描いて来た作品とこれまで書き貯めてあった作文を展示して、みなさんにみていただきたいと、初めての作品展をひらいたのですが、このことがなによりも、主役であるハルモニたちに大きな喜びと変化をもたらし、作品展後、彼女たちが今までよりも、一層いきいきとウリハッキョに通ってくるようになった姿を見るにつけ、作品展にはこのような『カ』があったのだと知らされました。
 会場では、作文を読んだ人が、「戦争中は、みんな苦労をしましたよね」と話しかけてく れたり、絵を見た人が「この絵はあなたが描いたのですか。素敵ですね」と褒めてくれたりして、ハルモニたちは見学者と親しく言葉を交わすことができました。その会話の中で、彼女たちは、「他人さまが、お世辞ではなく本気で、私と対等に話し、私のやってきたことを認めてくれた」と感じ、計り知れない喜びと勇気を与えられたのです。『学がないから』と、いわれのない劣等感を抱き、これまでの生活史を人に語ることを恥のように思ってきたハルモニたちにとって、今回の経験は、自らの存在を肯定的に捉え直し、この先、胸をはって前向きに生きていけるという、自信を与えてくれたようにみえます。
 また、識字教育の場にこれまで、あまり登場することのなかった、家族(娘や孫たち)が会場を訪れ、「ハンメ、すごいね」「お母さんはウリハッキョでこんなにいろんなことしていたのね」と感心して見てくれたことは、言葉では表現できない嬉しさでした。彼女たちは、これまでの努力・生き様全てを何よりも一番、家族に認めてもらいたいのです。
 共に文字を学びながら、ハルモニ・ハラボジたちに、『自分史を書き残し、次の世代に伝えて下さい』といい続けてきました。そして、一方では、文字以外にハルモニたちがもっとた易く自己表現できるものはないかと模索してきて、やっとめぐり合えたのが絵を描くということだったといえます。私たちは、彼女(彼)らの歩んできた人生から多くのことを学ばなくてはならないし、彼女たちは、自分史を書きつづる作業や絵を描くことを通して自己を解放できると信じてやってきました。今回の作品展はそのことを証明してくれました。遅きに失したと思いますが、この作品展は、文字の読み書きが出来るようになりたい、なにかの方法で自己表現をしたいと願っている全てのハルモニ・ハラボジの思いや、識字学級に関わってきた共同学習者の思いが、やっと少しばかり、実ったものだといえるのではないでしょうか。カムサハムニダ。  2007.7.3
 
*ふれあい館「ウリハッキョ」とは*
ふれあい館の識字学級は、20年前にスタートし、今もここには週2回、さまざまな国からさまざまな理由で渡日した人々(学習者)が、日本語学習のために通ってきています。そんな中、3年前、在日一世のハルモニ・ハラポジを中心に、学びの場所を交流センターに移し、「ウリハッキョ」を開きました。ここでは、週一回ゆったりとしたペースで日本語学習をすすめ、ハルモニたちは自らの生活史や今の想いを語り・綴ることに力を入れてきました。そして、昨年の7月からは月一回、絵を描くようになりました。絵の具を使って絵を描いたことなどないというハルモニがほとんどで、初めはおっかなびっくりでしたが、今では、みんな、毎月の「絵」の日を楽しみにしています。(作品展リーフレットより抜粋)
□■□ 行事案内 □■□

◎川崎市庁舎でハルモニたちの作文と絵の作品展!

ウリハッキョで書いた作文や絵が、今度は川崎市庁舎で見られます。

7月23日(月)午後~8月3日(金)12時まで
川崎市役所第3庁舎1階ロビーにて
☆歌と踊りの愉快なステージ 7月26日(木)12時15分~1時

 ▽詳しくは下記サイトをご覧ください
 http://www.seikyu-sha.com/fureaikan/kandayori/200707/tirashi/cityhall_001.jpg
◎かわさきのハルモニ・ハラボヂと結ぶ2000人ネットワークが2つの夏休み企画を立てました。いくらか専門性を要する協働プログラムと、在日というテーマでは入門者向けのワークショップです。

○在日コリアン高齢者の生活史と文化を記録する
 2007年夏休み協働プログラム

ウェブサイト「川崎在日コリアン生活文化資料館」充実にむけて、聞き取り・映像記録化・文字記録化ボランティア参加者を募集します。
①在日コリアンの生活史の聞き取り 
②在日一世(80歳代)の生活の記憶を回復する追体験記録化事業
③テーマ別聞き取り
④生活財に関わる生活証言の記録化
⑤映像化

・プログラム実施期間:7月末~8月12日  
・参加者打ち合わせ会:7月20日(金)午後7時~  
・問合わせと申込み:担当・三浦(090-9837-2623)まで。

 ▽詳しくは下記サイトをご覧ください
 http://www.seikyu-sha.com/fureaikan/kandayori/200707/0707tayori3.html

○コリアンな街 世代と民族を結ぶワークショップ

さまざまな世代・民族の人たちが在日コリアン高齢者と交流しながら学ぶ場です。在日コリアン家庭料理、生活史、地域歩きなどを通して、身近にあるコリアンな街を感じてみませんか。

・8月22日(水)午前9時~午後5時
・参加費 500円(昼食代及び資料代)
・定 員 20名
・申込み 名前、所属、連絡方法をEメールかFAXで担当・三浦まで。
     miura@seikyu-sha.com FAX 044-287-2045
□■□ 平和と近代史を考える博物館めぐり □■□

今回は、靖国神社内にある遊就館を取り上げます。あの有名な「我が国最初で最古の軍事博物館」(遊就館ホームページ、1882年開館)をご紹介するなどとはおこがましいですが、メルマガ管理人がちょうど1年前、あるNGO主催の遊就館フィールドワークに参加し、それがなかなか考えさせてくれる経験だったので、まだ行ったことがない方には一度訪ねられるのをお勧めしようというものです。軍人の遺留品が展示されているコーナーだったと思います。前を歩いていた高齢の女性が、同伴の高齢男性に話しかけました。「昔は兵隊さんが勇敢に戦ったのね」。
「勇敢」。「勇敢」という言葉で表されたその戦闘や侵略の犠牲になった人はどれだけいるだろうのか。そういう犠牲が誰の身にも繰り返されないですむ社会を、後世の私たちはつくっていけるのか。その場所からもう少し外の世界へと、想像はどんどん広がります。

□ミニ案内□
靖国神社遊就館

開館時間
4月~9月 午前9時~午後5時30分 10月~3月 午前9時~午後5時
年中無休ただし臨時休館日あり
  
拝観料
大人800円、大学生500円、中学・高校生300円、小学生100円
 
東京都千代田区
JR飯田橋駅、市ヶ谷駅または地下鉄九段下駅からいずれも徒歩8分

▽詳しくは下記URLをご覧ください。
http://www.yasukuni.jp/~yusyukan/index.html
□■管理人より■□ 
トラヂ会に集まるハルモニ、ハラボヂたちを撮った写真集『チマ・チョゴリの詩が聞こえる』の著者・菊池和子さんが、新しい本を出しました。韓国に戻った「もと在日」たちの証言集だなんて、日本で暮らす在日一世に関心がある私には興味津々です。まだ読んでいませんが、ご紹介まで。『釜山できく元在日の詩──日本も私のふるさとです』(かもがわ出 版、2007年6月、本体1600円+税)

資料館サイトの充実と関心を持つ人の輪を広げるため、ご意見や情報提供をお待ちします。文面・お名前をメルマガ上で公開してほしくない場合は、その旨明記してください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
川崎在日コリアン生活文化館メールマガジンは、メルマガ購読登録された方にお送りしています。万一間違えて届いてしまった場合や登録を解除したい方は、お手数ですが下記サイトから解除をされるか、直接管理人へご連絡ください。
http://www.halmoni-haraboji.net/mailmagazine/halmag.html
投稿およびメルマガに関するお問い合わせ、情報提供は管理人
mag-admin@halmoni-haraboji.net)までお願いします。メールマガ
ジンについてのご意見ご要望も随時受け付けております。

◎発行者 川崎在日コリアン生活文化館メルマガ担当(管理人 橋本)
 〒210-0833 川崎市川崎区桜本1-5-6
 川崎市ふれあい館   ℡044-276-4800 fax044-287-2045

カテゴリー: 6 メルマガ バックナンバー タグ:
コメントは受け付けていません。