参加者の思い 

 
学習フィールドワークを支えていただいた方々に心より感謝します

三浦知人

 各地域をご案内いただきました先生方、(山口の炭鉱の山口さん 下関の広崎さん、トングルトンネ、昭和館の前田さん、筑豊の犬養さん)、そして、手配いただいた藤村さん、磯部 さん、時間を割いていただいた木村さん いずれも、地域で地道な活動を推進されている姿に接して、私たちの川崎での小さな取り組みに連なる共感を分かち合う喜びを得たし、元気を分けてもらうことができました。
 在日コリアン社会、ひいては日本の多文化社会を開く一ページを飾るであろう渡日、帰国の玄関口「下関」、 戦争中の強制労働の代表的な炭鉱産業で有名な「筑豊」。二つの地域は、在日一世の記憶に深く刻まれる街です。かねてより、わたしたちも一世の人たちとぜひ来たい、学びたいと思っていた地域は、いずれの地域も、私たちのリクエストに答えてくれる実践者の案内がなければ、何もわからない、立て札一枚ない現実を見せつけられました。
 私たちは、川崎で、戦争中の軍需産業、戦後の高度成長を大変な労働で支えた在日コリアンの地域での生活史を、日本の社会史の中に正当に位置づけられるべきだと活動してきました。在日コリアンが、日本鋼管に代表される工場労働に従事させられ、インフラ整備の飯場仕事を担ってきました。戦後は、スクラップをあつめ、どぶろく、焼肉などの料理を出して、汗水たらして働く労働者のスタミナ食を提供してきました。ビルや道路工事を担い、居酒屋、パチンコ屋などの庶民の楽しみを作り出してきました。そうした日本の地域社会で果たしてきた在日コリアンの足跡が、生活上の被差別の実態を含めて、日本の地域史の中で位置づけられ、語られてこそ、共生の地域社会を可能ならしめると感じてきました。
 下関、筑豊の街を語るとき、もっともっと、在日コリアンの足跡が街の発展展開に表出されてしかるべきはずなのに、むしろ意識的に省いたり、無視したりしているとしか考えられません。
 今回のフィールドワークのコースは、私たちにとって、本当に学びの多い旅でした。友人や後輩にもぜひ、学習の機会をつくってあげたいくらいの充実した旅でした。在日一世が来てくれて、それをきちんと迎えてくれた案内人の人たちがいて、できたこと。近代史を語る山口、九州の旅として、自治体が少し手を加えれば、学習者の観光コースとして、参加したいと思う市民は少なくないと思います。素材が朽ち果てる前に、下関、筑豊の関係者が、川崎からの熱い想いを感じ取ってほしいと心から思います。
 

 
 
 
在日コリアン一世の炭鉱労働を学ぶ
下関・筑豊フィールドワークの旅
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